共存の道を歩むためのヒント

こんにちは。カウンセラーの塚越です。私自身も精神疾患と共に生きる中で、心と向き合うことの難しさ、そして「病気とどう付き合っていくか」という共存のテーマに日々向き合っています。

診断を受けた時、あるいは症状が再燃した時、「もう以前の自分には戻れないのかもしれない」と絶望を感じることもあるかもしれません。私もそうでした。しかし、私は確信しています。精神疾患を抱えながらも、自分らしく、充実した人生を送ることは十分に可能であると。

今日は、私が考える「精神疾患との共存」について、日々の生活の中で実践できるヒントを、私の経験も交えながらお話ししたいと思います。

「完治」ではなく「共存」を目指す意味

精神疾患の治療では、「完治」という言葉が使われることもありますが、私はそれよりも「共存」という言葉を大切にしています。なぜなら、多くの精神疾患は、糖尿病や高血圧のように、上手に付き合っていくことで症状を安定させ、再発を防ぎ、自分らしい生活を送れるようになるからです。

私の経験から言えるのは、心の病は私たち自身の「特性」の一部であり、それを理解し、受け入れ、ケアしていくプロセスこそが、真の回復への道だということです。

共存の道のりを支える3つの柱

精神疾患と共存していくためには、大きく分けて3つの柱が重要だと私は考えています。

1. 治療の継続:心の「土台」を整え、安定を保つ

まず何よりも大切なのは、専門家との連携を保ち、治療を継続することです。

  • 薬物療法との付き合い方うつ病双極性障害統合失調症など、多くの精神疾患において、薬物療法は脳内の神経伝達物質のバランスを整え、症状を安定させる上で非常に重要です。パニック発作の恐怖や、不眠症の辛さも、薬によって軽減されることで、私たちは冷静に自分と向き合うことができるようになります。私も、薬によって日々の心の波が穏やかになり、大きく生活が変わった経験があります。処方された薬は、自己判断で中断せず、必ず医師と相談しながら調整していきましょう。
  • カウンセリングの継続的な利用カウンセリングは、心の思考パターン行動の癖を深く理解し、より適応的なものに変えていくための大切な時間です。強迫観念に囚われがちな思考、全般不安症漠然とした不安PTSDによるフラッシュバックなど、一人では抱えきれない感情や経験を、安全な場所で話すことで整理できます。解離性同一症離人感といった複雑な症状も、カウンセリングを通じて自分自身の内面と向き合うことで、少しずつ「私」を取り戻していくことができます。継続することで、困難な状況に直面しても、しなやかに立ち直れる**心の回復力(レジリエンス)**を高められます。

2. セルフケア:自分だけの「安心基地」を作る

治療で土台を整えつつ、日々の生活の中に「自分をいたわる時間」を取り入れることが、共存の鍵となります。これは、私がカウンセラーとして最も力を入れている部分でもあります。

  • ルーティンの確立と維持: 規則正しい睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動は、心の安定に直結します。特に睡眠障害を抱える方は、毎日決まった時間に寝起きするルーティンが、心のリズムを整えます。私も、朝の散歩を日課にしてから、不眠症の改善を実感しています。
  • ストレス管理術の習得: ストレスは誰にでもかかりますが、その影響を最小限に抑える方法を知ることが大切です。リラクゼーション、マインドフルネス、趣味の時間、日記をつけるなど、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。適応障害を経験した方は、特にストレス要因から一時的に距離を置くことの重要性を感じたのではないでしょうか。
  • 感情の「見える化」: 気分や症状の記録をつけることで、自分のトリガー症状の波を客観的に把握できます。例えば、双極性障害の躁状態うつ状態のサイクル、摂食障害における食事と感情の繋がりなどが見えてくることもあります。これは、私たち自身の「心の天気予報」を持つようなものです。
  • 「できること」に目を向ける: 病気と共存する中で、できないことに目が向きがちですが、大切なのは「今できること」に焦点を当てることです。小さな「できた」を積み重ねることが、自己肯定感を高め、未来への希望に繋がります。

3. 周囲との繋がり:孤立せず、支え合う関係を築く

精神疾患との共存は、決して一人で歩む道ではありません。

  • オープンなコミュニケーション: 信頼できる家族や友人、職場の理解者など、自分の状態を正直に話せる相手を持つことは、心の負担を大きく軽減します。社交不安症の方にとっては大きな壁かもしれませんが、小さな一歩から始めてみてください。理解してくれる人がいることは、何よりの支えになります。
  • 支援サービスの活用: 地域には、様々な支援サービスがあります。カウンセリングだけでなく、ピアサポートグループ(当事者会)に参加することで、同じ経験を持つ仲間と繋がり、共感や情報交換を通じて孤立感を和らげることができます。アルコール依存症ギャンブル依存症克服を目指す方にとっては、特にグループの存在が大きいでしょう。
  • 自分を責めないこと精神疾患は、決してあなたの弱さではありません。病状が不安定な時も、うまくいかない時も、自分を責める必要はありません。あなたは、今この瞬間も、病気と懸命に闘い、共存しようと努力しているのです。

高崎の地から、あなたへ

ここ群馬県高崎市にも、あなたの心の健康をサポートする精神科メンタルクリニックがあります。私自身も、この地域でカウンセリングを通じて、多くの人と共に歩んでいます。

神経発達症ADHDASD)の特性を持つ方も、**学習障害(LD)**に悩む方も、それぞれの「私らしさ」を大切にしながら、より生きやすい道を模索していけるはずです。

精神疾患との共存は、一朝一夕に成し遂げられるものではありません。波はあるでしょう。でも、その波を乗りこなす術を身につけ、自分らしいペースで生きていくことは十分に可能です。

今日このブログを読んでくださったあなたが、自分自身を大切にし、希望を持って共存の道を歩んでいけるよう、心から応援しています。